酒田市は平成6年、市内の開業医でアララギ派歌人としても活躍した故岸田隆氏の遺族から、氏が生前収集した絵画を中心とするコレクションの寄贈を受けました。
大正3年、鳥取県に生まれた岸田氏は戦後まもなく、日本医科大学付属荘内病院に赴任し、当時国民病といわれた結核の撲滅予防に取り組まれました。その後新設された社会保険酒田病院(現市立酒田病院)に招聘され、昭和34年、院長職を最後に市内に内科医院を開業、51年からは酒田地区医師会議長も務められました。
氏のコレクションは青山熊治、金山平三、椿貞雄など、主に明治以降現代に至るまでの日本美術史を彩る、著名な作家たちの作品約50点で、中には個人的に親交の深かった丸木位里の水墨画に岸田氏が自作短歌を揮毫したユニークな作品も含まれており、酒田市美術館の重要な作品群となっています。